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インタビュー

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AJI PROJECTへの想い

瀬戸内暮らしのノート
(高松市屋島から一望した庵治石産地の様子。)


こんにちは、SELECT SHOP ROOTS135°店長の古沢です。

「瀬戸内よいもの便り」でご紹介している「AJI PROJECT」

瀬戸内は香川県が世界に誇る銘石「庵治石(あじいし)」を使ったプロダクトです。

「花崗岩のダイヤモンド」と称され、最高級の石材製品(主に石彫刻、建材、墓碑など)として重用されているのが庵治石です。

採石使用され始めたのは、およそ1000年前の平安時代後期にまでさかのぼります。

「AJI PROJECT」は、長い歴史と伝統、培われてきた庵治石加工の技術や知恵を用い、今の時代を生きる職人たちの手によって、
新しい発想で、新しい庵治石として表現されています。

人々の暮らしの中に、そっと寄り添う、日常使いできる石のプロダクトに姿を変えながらも、確かな存在感を放つ庵治石。

その秘められた無限の可能性を信じ、新たな挑戦を続ける職人たち。

SELECT SHOP ROOTS135°は「AJI PROJECT」を通して、
「瀬戸内」のものづくりや職人たちの技術と想いを、私たちらしい視点で発信していきたいと思います。


 




-【インタビュー】 二宮 力 AJI PROJECT 職人代表-


今回のインタビューは、AJI PROJECTの職人を代表して、
株式会社二宮石材 二宮力 代表取締役に「AJI PROJECT」「庵治石」について、深くお話を伺いました。


 AJIPROJECT


~まず、「AJI PROJECT」とは、どのような想いや背景から生まれたものか教えて頂けますか?~
 

分かりました。

まず、庵治石の石材業は、およそ1000年の歴史があります。

1000年の歴史においては、自分たちは一瞬の「点」でしかないと思っています。

振り返れば1000年という長い伝統があるわけですが、
これは、それぞれの時代を「点」として生きた、名もなき職人たちが脈々と伝え続けてきた技術や産地としての誇りが
「伝統」という形で繋がり、自分たちの目の前にあるという感覚ですね。

この、技術の伝統、庵治産地の伝統を10年後、20年後、さらには50年後、100年後へ繋げていきたい。

50年後、100年後を生きる次の世代、その次の世代の職人たちが誇れる伝統を作っていくことが、
今の時代を生きている自分たちの使命ですよね。

たまたま、自分たちの時代には主力製品となる、墓碑の商売があったので、やってこられました。

しかし、今は墓碑などが沢山は売れない厳しい時代になってきました。

これまでの石製品作りで培われた石材業の技術や知恵を他のものへ活かす道を作り、次の世代へ繋げていきたいのです。

そういう、強い使命感で「AJI PROJECT」は始まりました。

 


瀬戸内暮らしのノート
(現在まで、約1000年間の採掘作業が続けられている庵治石の丁場)



~それでは、「AJI PROJECT」に参加されている職人の方々に共通する想いを教えて下さい。~

 
今現在、AJI PROJECTに参加している人数は8名なのですが、皆それぞれ参加した理由は違うと思います。

これは、あくまで僕の想いとしてお話ししますね。

僕は何よりも庵治産地の活性化、これが一番です。

時代ともに、どんどん世の中が変わっていく中で、これまで通りに、既存製品の商売だけに頼り過ぎてはいけません。

太古に滅びた恐竜や動物のように、人間やモノも対応能力がなければ生き残っていけないと思います。

既存製品の商売だけやっていれば生きていけるという感覚は、僕自身には全くありません。

庵治石と自分の技術を使って、これまでにない新しいことができないかと、常日頃から考え続けて仕事をしています。

だから、「庵治産地のために」という想い、ビジョンはこれからもメンバーに伝え続けていきたいですね。

 


瀬戸内暮らしのノート
(二宮さんが専門とする文字や絵を彫る加工。ミリ単位の細かな加工に耐えうる庵治石の「ねばり」と職人の高い「技術」。)



~余談になってしまいますが、墓碑などが売れない、既存製品の商売が難しくなってきたのはいつ頃からなのでしょうか?~
 

僕が独立して27年なのですが、
その頃から「もうすぐ、墓碑が売れなくなる時代がやってくる」ということは言われていました。

それが、12~3年くらい前から、その兆候が強まり、一気に廃業する、石の仕事を辞める職人が出てきました。

ものすごく高い技術を持っていて、
業界の中で尊敬される職人であっても仕事を辞めないといけない状況になっていることが残念でなりません。

高い技術を見せる、表現する従来の石製品が売れなければ、どうしようもないということですよね。

(墓碑が売れない)理由には、中国などの海外から、非常に安い製品が大量に入ってきている、ということがあります。

その他にも、時代の流れとともに、日本の文化や価値観、生活様式が変わってきたことも関係しているでしょうね。

簡素化や能率化、効率化が重視され過ぎて、日本の「手仕事のものづくり」や「職人の技術」が廃れていくことを危惧しています。



 
~なるほど。墓碑などの業界も海外製品の脅威にさらされているとは知りませんでした。
「AJI PROJECT」には、日本の「ものづくり」や「職人の技術」を守りたいという想いも強く感じます。~

 
そうですね。

「日本のものづくり」「日本の職人の技術」は本当に高く、世界に誇れる財産です。
ここに再びスポットライトを当てたいですね。



 
~それは、「AJI PROJECT」発足当初から変わらないビジョンということでしょうか?~
 

大きく言えば変わっていません。

(AJI PROJECTを)始めた当初は、墓碑の商売を基準として、庵治石という素晴らしい石を知ってもらい、
選択肢の一つとして考えてもらう入口にしたい、という考えがありました。

ただ、現在は時代と共にどんどん変わっていく状況の中で、
時間はかかるかもしれませんが、墓碑などの従来製品に並ぶ、あるいはそれらに代わる主軸となる製品を、
今の道具、今の技術で創り出したいという考えでものづくり(AJI PROJECTで制作しているインテリアグッズなどの)をしています。




瀬戸内暮らしのノート
(庵治石を研磨する道具。工程や表現したい艶に合わせて、細かくパーツを変えて作業をする。)


瀬戸内暮らしのノート
(自然物である石はひとつとして同じものがない。一つひとつの石と向き合い、地道な手仕事の作業を繰り返す。)



~「AJI PROJECT」を通して、庵治産地の石工を子供たちや若者が憧れる仕事にしていきたいという想いはお持ちですか?~

 
もちろん、あります。

技能五輪全国大会という競技大会があるのですが(青年技能者の技能レベルの日本一を競う競技大会)、
庵治産地からも、石工の部門で毎年参加者を送り、優秀な成績を納めてきました。

ところが2年ほど前から、出場者を出すことができなくなりました。

技能のレベルが落ちたからではなく、職人の高齢化が進み、出場資格(満23歳以下)を満たす職人がいなくなったためです。

 


~庵治石という素晴らしい資源が産する土地に生まれ、石材業や石工さんが身近にいても、職人を目指さない?~

 
そうです。

やっぱり、庵治産地で生まれ育った子供たちには自分が生まれた土地のことを誇りに思ってもらいたいですし、
石の職人が憧れの職業になって欲しい。

そのためにも、実際のモノを見て、「こんなことが人間の手でできるのか!」と感動してもらえる、
「自分の手で作ってみたい!」と思ってもらえるような製品作りや発信の仕方を「AJI PROJECT」で行っていきたいですね。



 
~庵治産地の職人さんで、今一番若い方というのは何歳くらいの方ですか?~
 

僕の知っている限りでは、一番若くて26歳か27歳くらいの職人が数名いる程度ですね。

本当にこのままでは、おじいちゃん、おばあちゃんだけになってしまう。

そういう意味では、最初の方の質問の答えになるのかもしれませんが、
「庵治産地の未来に対する危機感」というのは、プロジェクトのメンバーが共通して持っている認識だと思います。




瀬戸内暮らしのノート 
(町の至る所で石に出会える庵治産地。何気なく、庵治石の大材が積み上げられていたりして驚く。)



~最後に、二宮さんが思う庵治石の魅力を教えて下さい。~

 
硬度があり、粘りがあり、水分の含有量が少ないので風化に強い。

磨けば庵治石にしかない独特の美しい「斑(ふ)」と呼ばれる斑模様が表れる。

こんな石は、世界中のどこを探してもない、唯一無二の石です。

粘りがあるというのは、石職人独特の表現で、石を形成する粒子の密度が高く、石と石が結びつく力が強いことを表します。
この点は、他の石とは全く違います。

これによって、とても細かな細工が可能なのですが、扱いが難しく、職人の腕が試される石でもあります。

石自体もすごいし、産地の職人の技術も日本一だと自負しています。

「花崗岩のダイヤモンド」と呼ばれてはいますが、まだまだ認知度は低いです。

新しい可能性を無限に秘めている石、従来の製品以外にも色々なことに使えるはずです。

もっともっと多くの人に知ってもらえたら、どんなすごいことになるのだろうと本当に楽しみです。


 



-最後に ~SELECT SHOP ROOTS135°が感じたこと、伝えたいこと~-

瀬戸内暮らしのノート

AJI PROJECT 職人代表の二宮さんの言葉からは、庵治産地の現状に対する危機感、
そして、この現状を何とかしたいと前に進もうとする挑戦者としての情熱をヒシヒシと感じました。

時代と共に、目まぐるしく変わっていく社会の中で、新しいことに挑戦し続け、
自分たちの信じる理想を伝え続けていくことには、勇気と膨大なエネルギーが必要です。

「AJI PROJECT」は、これからもプロジェクトメンバーの職人の方々が、
「庵治石」や「己の技術」と向き合いながら、「庵治産地のために」という想いをエネルギーにして
前へと進めていくのだと信じています。

「瀬戸内よいもの便り」の企画を通して、多くの「人」や「モノ」、「土地」と出会い、
改めて、瀬戸内で丁寧に育まれた“価値”とは何なのか、 考え続ける日々が続いています。

今はまだ、明確な答えを見つけられたわけではないですが、
一つひとつの出会いを通じて、確実に答えに近づいている実感があります。

土地で産する資源と長い歴史で培われた技術を新しい価値観で表現する「職人たち」と、そこから生まれる「ものづくり」。

これが、庵治石の産地での出会った、私たちが伝えていきたい“価値”です。

SELECT SHOP ROOTS135°は、これからも自問自答を繰り返しながら、
「瀬戸内で丁寧に育まれた“価値”」を伝えるために、前へ進み続けたいと思います。

ご精読ありがとうございました。
 
 

2020-10-25 09:32:00

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